葬儀葬式の手伝い、特に受付の手伝いをすることになった場合、理解し知っておくべきしきたりやマナーには、どのようなものがあるのでしょうか。
冠婚葬祭、特に葬儀葬式のしきたりとマナーについて説明した本は、多く出版されており、中にはコンビニでも購入できる安価なものもあります。
ところが、それらの本では多くの場合、遺族(喪家)や一般参列者に向けた内容にほぼ限定されていることが多く、こうした「手伝い」の場合のマナーについては、余り詳しくは書かれないケースが大半です。
しかし実際には、「手伝い」をすることが求められるケースもあります。
特にいわゆるサラリーマン(男女)の方の場合、会社などに関わっている方の葬儀があった場合には、立場によっては、受付手伝いを求められることも十分にあります。
そうしたケースも含め、葬儀葬式の受付手伝いで注意すべきポイントについて、幾つか説明していこうと思います。
故人や遺族ご一家のプライベートには踏み込まない
ところで、葬儀のしきたりやマナーと一口にいいますが、日本国内であっても、地域や宗教宗派などの違いによって、そうしたしきたりが若干異なることもよくあります。
更には、海外から移住してきた方の葬儀や、日本出身だが海外にルーツを持つ方の葬儀を手伝うことなども、あり得ます。
子ども時代からの親しい付き合いがあり、どのような宗教宗派の信者(「形式的な」ものも含めて)であるかなどもわかっているケースではなく、例えば手伝いをする方と喪家のどちらかがその地域に比較的新しく移住してきた場合や、仕事関連の付き合いで受付手伝いをする運びとなった場合、自分の知っているしきたりやマナーとは異なる作法を目の当たりにして、驚いてしまうことも考えられます。
しかしそうした場合でも、遺族の方々に対しては、手伝いに必要な最低限のことを確認する以外では、やたらに踏み込まないことが大切です。
自分の知っているものとは違うしきたりの方々を影で笑ったり、まして勝手に撮影してSNSなどに投稿するのは、マナーに大きく違反します。
また、故人が普段から自分とそれなりに親しかった場合、故人の死因が何かということはある程度知っているケースが多いですが、例えば会社の上司のご家族が故人であった場合などのように、生前の故人と必ずしも親しかったとは限らない場合もあり得ます。
こうした場合も、安易に遺族に質問したり憶測で発言したりするのは、マナーに反する態度です。
どんな服装をするべきか
葬儀受付の手伝いをする際には、どのような服装が適しているのでしょうか。
葬儀では、立場の違いに即した喪服を着るのがマナーとされます。
葬儀の受付係なのですから、立場上では「喪家側」となります。
但し、実際に喪家の親戚であったとしても、受付手伝いの場合には一般参列者に準じる服装が適します。
結論から言うと、男女とも「準喪服」が適しており、諸事情により「準喪服」を着て行くことが難しい場合、「略喪服」のダークスーツ(男性用・女性用があります)を着ます。
男性用の「準喪服」はブラックスーツ、女性用の「準喪服」はブラックフォーマルスーツとなります。
男女とも、靴はシンプルなデザインの黒にします。
女性用の靴はパンプスが適しますが、受付では立っている時間が長いこともあり、履きやすい黒のシンプルなフォーマル用靴を普段から準備しておくことをお勧めします。
なお、女性はメイクが派手にならないよう注意しましょう。
冬場の葬儀の場合、コートはどれが良いかということも重要な点です。
基本的にコートの色は黒・濃紺・濃い灰色などが適します。
光沢のあるものや、ファー(フェイクファーも含めて)付きはタブーです。
ダウンジャケットも、カジュアルな印象が強いので適しません。
まとめ
葬儀の受付手伝いをすることになった場合には、まずこうした点に注意しておくことが大切です。
そして更に言いますと、普段から葬儀葬式や、埋葬・死者供養、更にはそれに密接に結び付いた宗教などについて、最低限の関心を持っておくことが大切です。
日本、特に現代日本では、とかくこうした「死」やそれに関連する様々な事柄について、常に触れてはいけないタブーとしがちです。
しかしそのようにタブーに閉じ込めてしまうことで、いざという時に切羽詰まってしまったり、その他にも様々な問題点の温床になってきた面もあります。
だからこそ、普段から「死」に関連する様々な物事に対して、興味関心をある程度持っておくことをお勧めします。